このところ藤沢作品ばかり読んでいるような気がする。マァばかりでなく他の本も読んでいるのだが藤沢作品は読みだすととまらなく引きずりこまれるのでどうしてもほかの作品は読みかけになってしまう。そんなことでベッド横に読み欠けの本がほんがうず高くなってしまった。昨晩数えたら15冊もあった。

 藤沢作品もかなり読んで本棚の一角をデンと占めていて威張っている。あと読んでいないのは新潮文庫、角川文庫あわせて20作品ほどあると思う。それにしても藤沢作品は面白い。
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この短編集に収められている5作は藤沢氏のきわめて初期の作品で「暗殺の年輪」、「又蔵の火」につづく3冊目のの短編集である。前2冊は、物語全般に暗く、陰湿で二度は読みたくもないがこの3冊目は、どれもなぜか物語の基調も明るく、流れも酷い殺戮も扱っているが基本はほのぼのと軽くさわやかである。もう一度読み返したい作品ばかりだ。

「父(ちゃん)と呼べ」
盗人の手伝いをさせられていた男の子をひょんなことから面倒を見ることになった。その父親は島送りとなってしまって終生帰ることはないと思われた。最初はおびえていたその子もしだいになついてきて子供のない夫婦にとって鎹(かすがい)となっていた。そんなとき、妙齢の女性が訪ねてきた。その女性はその子の母親であると名のった。男の子は母親をえらび去ってしまった。残された夫婦は、夫に妻からちゃんとよんでくれと頼む。ばかばかしくも二人の目には涙がいっぱいたまった。
「闇の梯子」
「入墨」
「相模守は無害」
「紅の記憶」

烏鷺を闘わせる=囲碁をすること。